リウマチ薬副作用の間質性肺炎、日本人の発症率は60倍

リウマチ治療薬「アラバ」(一般名・レフルノミド)を服用した日本人のうち、間質性肺炎の副作用が出たと疑われる割合は海外の事例に比べ60倍高いことが、日本リウマチ学会の調査でわかった。アラバ錠は服用した人が間質性肺炎にかかる報告が相次ぎ、厚生労働省が昨年1月、販売元に添付文書の改訂を指導した。同学会も学会員に注意を促す。

 同学会調査研究委員会の「レフルノミドによる肺障害検討グループ」が、03年8月〜04年12月にアラバ錠を処方された5106人について調査。間質性肺炎の副作用の疑いで販売元に報告されたのは63例(1.2%)あった。同錠は70カ国で約40万人に使われ、間質性肺炎の全体の発症率は0.02%。日本は60倍高い。63例中、特にアラバ錠との因果関係が疑われるのは28例で、うちX線画像のある24例を分析すると14例が死亡していた。

 アラバ錠は免疫反応の調整で関節リウマチの痛みを和らげる効果があるとされ、03年4月に認可された。臨床試験では間質性肺炎の副作用報告はなかったが、肝障害など他の副作用が多く、製造・販売元のアベンティスファーマは発売当初から全例調査を実施していた。

 日本医科大の工藤翔二教授(呼吸器内科)によると、やはり間質性肺炎が多発したイレッサでも日本人の発症率は米国人に比べ20倍高く、特定の薬剤における日本人の薬剤性肺障害の発症率は著しく高いという。原因として遺伝子の突然変異が考えられるが、詳細はわかっていない。

 調査した札幌山の上病院の佐川昭院長は「間質性肺炎を起こす頻度は従来のリウマチ薬と大差はないが、間質性肺炎を起こした場合には死亡率が高い。学会として調査を続け、リスク要因を洗い出したい」と話している。

  • メトトレキサー
  • レフルノミド
    • ピリミジン代謝の key enzyme であるジヒドロオロト酸脱水素酵素を阻害し作用を表す

http://www.asahi.com/life/update/0502/004.html